軽SALの勧め

軽SALの勧め
ハンドランチグライダーは手軽に自然と対話する事ができるラジコンです。
動力を持たず、空気の流れを感じつつ機体をコントロールする喜びは
他のジャンルには無い物です。
その対話をより感じていただくために、きむらクラフトでは手投げ発航
(ハンドランチ)にこだわっているのです。



手投げで飛行機をサーマルに乗せて飛ばす...と言う事は、自然や空気の流れ
の観察やコントロールの能力もさることながら、それなりに体力も必要としています。
たいていのハンドランチグライダーは、成人男子の全力を持って投げ上げる事を
前提として設計、デザインされていて、子供や女性、お歳を召した方には体力的に
難しい所があるのが現状です。

それを解決する一つの案としてきむらクラフトではSAL(Said Arem Lunch)を
提唱します。
SALでは腕力だけではなく、遠心力を有効利用する発航方法で、
ハンドランチグライダーにおける体力による差が少なく出来る物と考えています。

獲得高度を決める一番の要素として「初速」という物があります。 
通常のランチの初速は、体の筋肉がほぼ100%作り出す物です。 
これと比べてSALの初速は「回転による速度」となります。 
ハンマー投げと違い、振り回す物の重量は大きくても300グラム程度で、
これに与える回転力に使われる筋力も僅かな物です。

ただし、SALでランチするためには機体の方にもそれなりの細工が必要になって
きます。
翼端をつかみますから、翼端をつかんでも良いような細工。 
回転しながら投げ出しますので、直進性を高めるための細工、などです。
実際にヨーロッパやアメリカなどで使われているSAL機では、
剛腕の操縦者が力任せに振り回す為に、機体は普段私たちが使っている物とは
かなり違う物になっています。


強度や獲得高度を増すために、旋回性能や滞空性能を犠牲にしている機体の例も
少なくありません。 そしてなにより、機体の入手が困難という問題があります。

そこで「軽」SALな訳です。
SALの使用目的を「さらなる獲得高度の為」ではなく、
「軽い力で通常の高度を獲得する」にするところが「軽」なのです。
この「軽」程度の使用でしたら機体も通常の物を少し改造すれば済みますし、
改造が少なければ犠牲になる物も少なくて済みます。



私が実際にムサシノ模型飛行機研究所製のスカイウォークの主翼を
SALで投げられる様に改造してみましたが、二段上反角部分の補強と
指掛けの追加だけで「軽SAL仕様」へ変更する事が出来ました。 
そして、もくろみ通りの性能も発揮してくれています。





従来通りの上から投げる投げ方を否定する訳では決してありません。 
また、ラジコン飛行機をハンドランチグライダーから入門されたばかりの
方にもお勧めは出来ません。

ですが、SALは解釈の仕方次第で、より多くの人に隔たり無く
ハンドランチグライダーを楽しんでもらえる為の物と思い、
期待しているものであります。


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