簡易バキュームバギング工法 2
(デコパネで尾翼)


コアの素材は何処でも手に入るデコパネ(スチレンボードとも言う)を使ってみました。 一般的にハンド
グライダーのコアに使うスタイロフォームEKよりも密度が高く、重いのですが、加工性は良いように思い
ます。

5ミリ厚のデコパネを使用しましたが、断面の真ん中当たりに硬い層があり、そこを上手く使うことで
後縁も薄く削り込む事が出来ます。

翼型を思い浮かべながら120番のサンディングボードで荒削りをして、最後は3Mのスポンジのサ
ンドペーパーで仕上げました。

Blaster用なので、中央部にはフライングテールベースの受けとして5ミリバルサが埋めこんであります。




スパーはカーボンCFシート(単一方向のカーボン繊維を焼き固めた物)を幅3ミリに切った物を上下面に
貼り付けます。

これの前に作った物がカーボンUDをそのまま使ったのですが、
補強過度だったのと樹脂をだっぷり吸って重くなったのでサイズダウンさせました。

コアに仮接着しますが、文具の「テープ糊」を50ミリ間隔で使って貼り付けます。 作業中に動かなければ
良いんです。



リリースフイルムをカットします。 PPシートですが、エポキシが接着されなければとりあえず何でも良い
です。 PPシートですと、離型処理をしなくても離型してくれます。

硬い素材なら表面は平滑になりますが前縁などへの巻き込みが悪いです。 柔らかい素材は逆になり
ます。

前縁の形を正確に写し取って、丁寧に切り出します。


ガラスクロスを切り出します。 ガラスクロスは19g/m2の物で、スキン用は45度のバイアスに、前縁
保護用はラジアルにローラーカッターで切り出しました。

前縁保護用は幅10ミリのテープ状です。


スパーと前縁保護テープを貼り付けた状態です。 

スパーは厚み0.15ミリとありますが貼ればやはり段差が出来ます。 そこで、貼った後にローラーを均す
ように掛けると有る程度押し込むことが出来ます。
ドライバーの先や細く切ったサンドペーパーで溝を掘って埋めこめば完璧ですが、手を抜きました。

前縁保護テープはスプレー糊をテープに軽く吹き付け、前縁を巻き込むように貼ります。
 これも動かなければOKです。

この状態で一晩放置です。 スプレー糊の溶剤がしっかり飛ぶまで待ちます。

樹脂を用意します。 使用する樹脂は5052で混合比は主剤100に対して硬化剤38です。
正確に計りましょう。

私は先の細い割り箸の先を使って容器に垂らしますが、概ね4滴で0.1gです。 使っている計りは0.1g
まで計れる計りですが、やはり少量の樹脂では誤差が大きいですね。

容器は....これはニューヨークチーズケーキの容器です。  食べた後に洗って取り貯めています。


しっかり撹拌します。 きむらクラフトではリューターにL字に曲げたピアノ線を加えさせて、これでもかと言う
ほど混ぜます。 
リューターの回転速度は一番低く設定していますが速すぎると気泡もたくさん入って柔らかくなり飛び散り
やすくなります。

気泡が入りますが、この後ドライヤーであぶって加熱してあげることで気泡を抜く事ができます。

リリースフイルムに目を整えつつクロス置き、樹脂を垂らして柔らかめのカード(プリペイドカードとか)を使
って伸ばしていきます。

力を入れるとクロスの目が乱れたり、寄ってしまったりしますので、優しく丁寧に伸ばします。


綺麗に伸びました。


樹脂を伸ばしたクロスにキッチンタオルを敷き、その上からローラーを掛けて余分な樹脂を吸い取ります。
キッチンペーパーにシミが出来ているのが判るでしょうか。

今回はこの作業を2回行い、クロスが毛羽立つまで樹脂を吸い取りました。


補強用のカーボンクロスはビニールの小袋に入れて中に樹脂を垂らし、袋を閉じて上からローラーで押し
て樹脂を伸ばし馴染ませます。

クロスの目が潰れて1割ほど大きくなるので馴らします。


型紙を使って、ビニールごとカーボンクロスを切り出します。

余ったカーボンクロスはそのまま硬化させると簡単にビニール袋から取り出せて、補強材として使えます。


切り出した補強材の片側のビニールを剥がして所定の位置に置いて馴染ませたら反対側のビニールも
剥がします。

前縁保護テープと薄くなる後縁を保護するために後縁の縁から5ミリほどに樹脂を塗りつけたます。

スパーにも樹脂を塗り、スパーとコアの間に樹脂が回るようにします。 指で撫でてはいけませんよ。
カーボンのササクレが刺さります。

キッチンタオルで挟んで上から押して、余分な樹脂を吸い取ります。


キッチンタオルに樹脂のシミが出来ていますね。

前縁の巻き込みを計算に入れてコアを乗せます。  乗せた後に、手で軽く撫でて密着させておきます。
密着させておくと、この後の真空引きのときにずれにくくなるようです。


花屋フイルムとキッチンペーパーでくるんでバックにいれます。


バッグに入れる際にずれないように紙テープで固定します。
花屋フイルムは必ずしも無くてもかまいませんが、縁のキッチンペーパーが接着されてしまうことあります。
硬化後に全週を削って仕上げるので接着されたペーパーは削り落とせます。



フードセーバーで何回かに分けて吸引させます。 立体ですので、バッグにシワが寄りたがりますので、
シワを伸ばしながら少しずつ吸引時間を長くしていきます。


最後にシールされるまで吸引します。 尾翼の上面にはシワがありません。

気温が低くなってきたので、居間のホットカーペットの下に入れて24時間硬化させました。
踏まれるような事があれば今までの苦労が水の泡です。 ちゃんと張り紙をして注意喚起をします。


24時間後、バッグから取り出した直後の状態です。
全週にはみ出したグラスがあります。 この部分と前縁は削って仕上げます。 前縁はコアが出てしまわ
ないように注意して削ります。


トリミングが終わった状態です。 コアが4gあって、面積も2.5dm2ありますので、まぁこんな所でしょう。

これ以上軽い尾翼にするならば、やはりコアをスタイロフォームにするしか無いでしょうね。


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