古い自転車の整備1


きむらクラフト所有のMTB、1990年製造のBianchiのOSPREYです。
Bianchiのイメージカラーであるチェレステグリーンが綺麗です。


ただ、何しろ20年を超えた自転車で、ギヤなどのコンポーネントは今は無き
SUNTOURです。 20年の間に規格なども色々変わって整備も
やりにくくなってきました。
 


        
元々はこんな自転車でした。 サドル、ステム(ハンドルバーを固定している部分)、シートポスト(サドルを支える部分)
ペダル、フロントホーク、ブレーキなどを交換していて、原形を留めていません。
 
タイヤ周りの交換作業 

タイヤ、チューブを新しい物に交換します。 ついでに画像に写っているリムフラップも交換しました。

リムフラップはリムの裏側に飛び出たスポークの受けからチューブを保護為の物です。

これまで付いていた物は、黒いゴム製の1ミリ厚の物でしたが、最近の物はウレタン製の、厚みが2ミリほどあります。
重量はゴム製の薄い物と変わりませんが、耐衝撃性も上がっています。



クイックレリーズ(簡単に車輪を脱着する為のパーツ)も新しい物に交換します。
画像の物はこれまで付いていた物で、メッキの腐食やバネの劣化が見られました。



組み込みが終わったホイールです。

タイヤはMTB用のスリックタイヤで、タイヤ幅は1.5インチです。 元々のブロックパターンのタイヤは1.95インチの幅
がありました。 このサイズのブロックタイヤで舗装路を走るとかなりの抵抗があるのです。

舗装路限定と考えると、スリックタイヤの方が快適だったりします。 交換前は1.75インチ幅でしたが、更なる低抵抗を
求めて1サイズ幅を細くしました。


クイックレリーズもアルミ製の軽い物になりました。


 
 シートポストの交換

左のシルバーの物がそれまで使っていた物で、長さは270ミリあります。

今までの物はフレームに差し込まれている部分が少なく、今以上にシートを上げることが出来ませんでしたので、
長い物に交換することにしました。 

コチラは長さが400ミリありますが重量は軽くなっています。


 
交換はサドルを組み替えるだけですが、シートポストを選ぶ時に注意しいと行けない点があります。

シートポストの直径はどれも同じように見えますが、太さにかなりの種類があって、ほぼ互換がありません。 

現在のクロスバイクなどの主流は27.2ミリですが、私の自転車の製造された時代は26.8ミリが主流でした。 
高々0.4ミリですが、太い物はフレームに入りません。 実件済みです。

それ以外にも10種類ほどの太さがありますので、交換の際は1/10ミリまで計測する必要があります。


ブレーキシューの交換 
 
この自転車のブレーキは「カンチレバー」と言う形式のブレーキが付いています。




(Vブレーキの例)
この形はもう時代遅れとなっていて、現在ではリムを挟む形式では「Vブレーキ」という形状が
主流となっています。 無情な物で、カンチレバー用の部品は極端に数が少なくなっています。


ようやく探し出したのはジャグワイヤのブレーキシューです。

最近の物はシューのゴムだけの交換が可能ですが、取り外した古いシューはそうは行きません。

左右の区別があります。


カンチレバーのブレーキシューを交換すると、もれなくブレーキシューの当たりやアームの角度の調整が付いてきます。
ブレーキシューはボルト1本で取り付けられていますので、緩めると全ての角度が狂います。

納得のいく角度が出るまで、3〜4回調整しました。

チェーンの交換 

20年間使い続けたチェーンはこんなにも伸びてしまっていました。

 
交換は、まずは古いチェーンを切断します。 切ったときに弾けるのを防止するためにこの様なツールを使ってチェーンを
引っ張っておきます。


その後にチェーンカッターを使って、弛みを作った部分のチェーンのピンを抜くことで切断されます。


新しいチェーンを古いチェーンに合わせてカットします。 長さでは無くて、コマの数を数えて合わせます。
チェーンも20年の間に様変わりしていました。

1990年当時は7速が一般的でしたが、現在は9速、10速となっていて、フレームの幅は変わっていませんのでその分
ギヤとギヤの間隔が狭くなっています。
 
それに合わせてチェーンの幅も狭くなっているのです。 

この自転車には8速以下用のチェーンを選ばないといけません。 9速用が幅を効かせているので、こちらも選択肢が
狭いです。



チェーンの接続はミッシングリンクと言われるパーツを使う事で簡単に接続出来ます。


リアスプロケット交換 
 
当時のカタログです。 私の自転車にはこのコンポーネントが組み込まれています。

リアスプロケットを車軸に取り付ける方法は大きく分けて2種類あります。 一つは古い、1980年代から1990年代初めの頃
のスポーツ車や現在の安価な自転車に使われるボスフリー方式。

ギヤとフリー(後ろ向きにこぐと空回りする仕掛け)が一体になっています。 上の写真の中心部の4つの切り欠きに専用工具
を掛けて回し、取り付け、取り外しを行います。


もう一つはカセットタイプと呼ばれる物で、コチラはフリーは車軸に取り付けられていて、ギヤ単体を交換出来るようになって
いる物です。

私の自転車は後者のギヤが取り付けられています。 ボスフリーはメーカー互換がありますが、カセット方式はギヤがセット
されるスプラインがメーカー毎に違うため、互換性がありません。

私の自転車のギヤを作っていたメーカーはもうありませんので、在庫を漁らない事にはギヤは手に入りません。




ギヤの交換には上の写真のようなツールを使います。 スプロケットリムーバーと言います。

現在主流のシマノと言うメーカーの物は、この工具一つとモンキーレンチなど22ミリのナットが回せる工具があればスプロ
ケットの交換が出来ますが、私の自転車のサンツアーではこの工具が二つ必要となります。



 緩める方向にはギヤが空回りしますので、一番大きなギヤに工具を掛けて固定し、一番小さなギヤを左に回すと一番
小さなギヤだけ外れます。


外したスプロケットです。 これをカセットコグとも言います。 外れた一番小さなギヤが全体のギヤを押さえていたわけです。


残ったフリーの部分です。 汚れを落としてグリスを薄く塗っておきました。




やっと見つけた新品のギヤです。
定価は2400円程度のはずなのですが、プレミアでも付いているのでしょうか、6000円の値札が付いていました...。


スプラインを合わせてギヤを取り付け、一番小さなギヤをねじ込めば交換完了です。


外したギヤ、一番上(実際は2番目になります)のギヤの間隔が広く見えます。


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