ウインチ
2006.12にきむらクラフト待望のウインチが導入されました。
これを機に、色々とウインチを解剖してみました。
ウインチ運用の小技道具 巻き取りシャフト 電動ドリルに取り付けると、400メートル巻きのボビンでの巻き取りが、電動ドリルで行えるシャフトです。 左側が電動ドリルのチャックで 咥える部分です。 直ぐ右にキーが取り付けてあり、ボビンの切り欠きが入ります。 コレは知人に作ってもらったものです。 両手ハンドル 巻き取りシャフトで巻くと、片手で電動ドリルを持つだけになり、結構疲れますが、このハンドルを取り付けると、両手で持つことが出来て、 とても楽になります。 長ボルトとツバ付きナット、水道管パイプ、クッション材で出来ています。 クッション材が巻かれた水道パイプの中で、長ボルトが空回り する仕掛けです。 この様に取り付けます。 左手で電動ドリル、右手で両手ハンドルを持って使います。 捨て索君(捨てる君とも言う 群馬弁で言えばぶちゃるくん) 廃棄する曳航索を簡単に捨てることの出来る道具です。 この道具を使わずに索を廃棄する場合、索を手でたぐってまとめます。 400メートル の索なら、約400回たぐる必要があり、かなりの労力が必要です。 この道具に電動トリルを使って索を巻き取り、簡単に廃棄する事ができます。 400メートル巻きボビンを真っ二つに切断、40号のVU規格の塩ビパイプに割を入れた物を被せただけの物です。 使い方は、先ず、捨て索君に廃棄する索を巻き取ります。 電動ドリルから外すと既にこんな感じに。 簡単に捨て索君から巻き取った索が外れます。 このまま捨ててしまいます。 繰り出し機 2000メートル巻きのドラムから索を取り出すときに使う道具です。 他のメンバーは縦型の物を自作していますが、ここは捻くれて 横型の物を作ってみました。 テレビ回転台にテーブルの脚をネジ止めしたものです。 このテーブルの脚に、ドラムの穴がスッポリと入ります。 脚の棒の部分と、台座 に盛り上がりがあるため、高さ合わせにスポンジが貼ってあります。 引っ張られて動いてしまわないように、アンカー用にワイヤーが取れ付けられています。 この用に、繰り出し機にドラムを乗せて索を引くと、コロコロと回って索が繰り出されます。 この様に、リターンプーリーに索を通し、片側をウインチに引っかけ、リターンプーリーを200メートル引っ張ります。 |
ウインチ小改造2 一般のウインチで良く用いられるオーバー社のリターンプーリーは、シャフトをプーリーが上下に滑る構造になって います。 待機中は地面近くに下がっていて、曳航中になると上に持ち上がる仕掛けです。 対して、木村のリターンプーリーでは、待機中でも下に下がりきらずに索が中空に浮いた状態です。 ウインチが一台だけで使用するときは問題無いのですが、何台か並んだときに、他のウインチの機体離脱後の索が 木村の索を擦って行く事が懸念されます。 今まで、色々と策を巡らせましたが、中々良い案が浮かばすにいましたが、今回、リターンプーリーの取り付け位置 を下げる案が思い付いたので実施してみました。 200系のハイエースなどの、イスのベースフレームに固定して、フックを引っかける為の金具を購入して小改造を 加えてプーリーが取り付けられるようにしました。 金具を使用して、プーリーの取り付け位置を下げたリターンプーリーです。 抵抗器の交換です。 競技で使用されるウインチは、公平を期す為にトータルの抵抗を23ミリオーム以上と定められています。 木村のウインチは、 今まで測定をしたことが無かったのですが、F3Jの日本選手権のおり、ウインチ検定を受けてみました。 スペックの判らないウインチではありましたが、このウインチははパワーの無いモーターが付いていると思い込んでいました。 ですが、いざ計測をして見ると、20ミリオームしかありません。 3ミリオーム足りなかったのです。 元々、2ミリ×25ミリ×115ミリのステンレス製の抵抗器が付けられていますが、計算値では1.6ミリオーム程度になりました。 そこに、約3ミリオーム分を追加した物を新たに製作してみました。 SUS304のステンレス板で、1ミリ×20ミリ×140ミリで、計算値では約5ミリオームとなります。 取り付けてみました。 |
ウインチの小改造 索の取り付け方法を改善しました。 このウインチのドラムには索を取り付ける部分がありません。 ですので、索の取り付けはドラムに索を縛り付け、縛り目が邪魔にならないようにビニールテープを巻き付けて いました。 索切れなどで索を交換する時に手間が掛かりますし、なによりカッコ悪いです。 改善策として、ドラムのフランジ部分を加工して、結び目を差し込んで回転方向と反対側に引くとロック出来る ようにしてみました。 このドラムはアルミ鋳物の一体物で、ドラム部分はムク、フランジ部分の肉厚が15ミリもあります。 表側は写真の通りで結び目を入れる穴が5ミリでロック部分が2ミリですが、裏面は8ミリで肉厚が3ミリになる までさらってあります。 索の取り出し部分は滑らかになるように削ってあります。 イメージ図 |
リターンプーリーの小改造 アルミブロック製のゴツイプーリーが付いたいましたが、ヨット(実艇)用の樹脂プーリーに交換しました。 75mmカーボン シングルスイブルで8000円ほどで手に入れました。 屋外、海水に耐性のある商品で、とても滑らかに回ります。 ここ数年でパラシュートのフックのかけ方が変わってきました。 以前は図の一番上のようにパラシュートの 先端をフックに掛け、パラシュートにテンションを掛けた使い方をしていました。 それが、真ん中の図のように、先にパラシュートの先端(ループのテグスだけ)をまずフックに掛け、その後に 付け根のリングをフックに掛けて、パラシュートに負荷を掛けない方法に変わりました。 更にリングも廃してリリアンで補強した索の縛り目を直にフックに掛けるやり方になり、2015年現在主流と なっています。 このプーリーは本来ロープを通して使用するものなので、ケースとプーリーとの間にクリアランスを大きく取って ありますが、リングが無くなった最新の運用方法では、パラシュートごとこの隙間を抜けてプーリーから外れて しまう事がありました。 外れてしまうとリカバリーするのが大変なので、隙間を狭める加工を施します。 本体に4ミリの穴を開け、M4の皿ネジの頭が隠れる加工をします。 反対側はM4のタップでネジを切ります。 6ミリのアルミパイプを本体に挟んで、M4*30のステンレス皿ボルトで締め付けます。 取り付け後の画像。 ネジ頭は綺麗に埋没しています。 アルミパイプは隙間無く収まって、クリアランスを制限しています。 |
これらがウインチを使うための道具一式になります。 上の赤い棒がリターンプーリー、右にバッテリー。 その下にフットス イッチがあります。 クイはウインチ本体を地面に固定するための物 です。 リターンプーリーも、プーリーが取り付けられている棒部分を 地面に打ち込み、更に2本のサブステーも地面に打ち込みます。 100kgに及ぶテンションで引っ張られるので、固定はしっかりとしない となりません。 バッテリーはディープサイクルバッテリーと呼ばれる放電しきってしまっ た後でも回復するバッテリーです。 ボイジャーのMF24と言うサイズの物です。 このウインチはオーストラリアのAIRSTRIKEと言うメーカーの物で オークションで落札した中古の物です。 中古とはいえ、強固に作ら れているので、一度買えばほぼ一生物です。 運用状態に仮設置してみました。 手前の赤い棒にはプーリーが付いていて、曳航索を折り返します。 片側がウインチのドラムに、もう片側はパラシュートを介して機体に 繋ぎます。 ウインチ本体はクイ2本で地面に固定されますが固定の際は、引き出 した索とドラムが極力直角になるよう、微調整を行います。 直角になっていれば巻き取られた索が綺麗にドラムに巻き取られます。 索を延ばす時には索にシリコンオイルを塗布しながら延ばしていきます。 摩擦によ損傷をしにくくなります。 使った印象は、一般的なF3Bウインチよりも穏やかな特性(パワーが 無いとも言う)で、F3Jの機体が安心して上げられる物でした。 通常、F3Bの競技用に調整されたウインチでF3J機を曳航する場合、 順風のコンディションではスイッチをチョンチョンと押してモーターを断続 的に回し、巻き取る力を加減しなければなりませんが、このウインチなら スイッチを入れっぱなしでも大丈夫です。 |
ウインチはただモーターで糸を巻き取るだけではないんですね。 このウインチではモーターと反対側の端に、ワンウエイベアリングを納め たハウジングあります。 このワンウエイベアリング、本来は競技で使用する際に曳航中の索を繰 り出せないようにする為の仕掛けですが、これがあると無いとでは運用 の便利さは月とすっぽんになります。 上の画像はHLG用の小型ウインチで、ワンウエイベアリングが装備され ていない物です。 パワーを掛けて曳航するときは良いのですが、機体が離脱した際、テン ションの抜けた曳航索が戻ってきて、惰性で回転しているドラムにからみ つきます。 絡みついた糸を解くのは、肉体的よりも精神的に応えます。 また、向かい風がほとんど無い状態でモーターを止めるとドラムが逆転し て機体を曳き上げる為のテンションが抜けてしまいます。 ワンウエイベアリングが無いウインチは、これらを事を考慮しつつ使用しな いとならないのです。 なお、ワンウエイベアリングにはワンウエイを解除する機構が付いていて 索を回収する際は自由に繰り出す事が出来るようになっています。 このウインチのモーター部分です。 モーターの出力軸にダイレクトにドラムが取り付けられています。 このウインチは、F3B用とはなっていますが、他のF3B用ウインチより 回転が高く、トルクの少ないモーターが採用されているようです。 BOSCHのセルモーターですがオーストラリア製ですし、型番も 8000−063−080と見たことのない様な型番です。 どの車種に使われるモーターでしょうね? ちなみに、一般的なF3Bウインチでは、1990年以前のBMWの250 0ccクラス(E36)のエンジンに取り付けられるモーターのようです。 出力は1.1kw程度です。 これらのモーターは、ダイレクトにエンジンを回すモーターで、稀少になっ ていて、値段も張るのです。 今時のセルモーターは小さい高回転モーターをギヤダウンして使うので すが、このギヤダウンがF3Bの規定に引っかかる為に安価なモーター を使うことが出来ません。 回路は至ってシンプル。 高い電流を流すため、これも自動車用のリレーを使った回路となってい ます。 |
使ってみた所、この他の物より小さめなリターンプーリーには角が立って いて、巻ききった索やパラシュートが絡むことがありました。 メンテナンスも含めて一度バラし、グリスアップと外側のプレートの角と 言う角をヤスリで削り落とし、綺麗に面取りをしてあげました。 このリターンプーリー、プーリー自体はスチール製で、ベアリングが2個 入っていました。 ウインチ本体を裏返したところです。 変わった形のスチールパイプフレームのウインチですが、これが地面に 直置きになってしまいます。 ですので、スパイク効果も期待して、硬質ゴムの足を付けてあげました。 |
こちらは今主流のF3Bウインチ達です。 これらはF3Bルールに則って、バッテリーを含む全体の抵抗を23Ω 以下になるように調整され、検定を受けています。 |