F5J機 ダイレクトドライブの可能性


きむらクラフトのメインF5J機、INFINITY EVO F5JではF5J機で多く見るギヤダウンして大径の折りペラを回す
スタイルでは無く、モーター軸に直接折りペラを取り付けるダイレクトドライブのスタイルを取っています。



Tahmazo CR−28194d

一番の理由はモーターの価格です。 例えば、このクラスの機体で一般的な Powerline Micro 1015 Turbo で
26000円程度しますが、この機体で使用しているTahmazo CR−28194dなら9000円で済みます。

ただ安いだけでは当然だめで、F5J競技で許されるモーターランの30秒間での性能が必要とされます。 何回かF5J
の競技会に出場して、単純に「30秒間で200メートルまで上昇出来れば良い」と言う物では無い事を実感しています。

あるときには高度よりも水平方向への移動にパワーを使う事もありますし、コンディションによっては200メートル以上
上昇させる必要もあります。 また、強風のコンディションでは非力なユニットでは対地速度が取れなくなってしまいます。

このTahmazo CR−28194dモーターで、モーターの許す限りの性能を使って、F5J競技で必要なパフォーマンスを
引き出すプロペラの組合せを探ってみました。


 

機体に搭載する前にテストベンチを作り、電流値や回転数を測定、自作のパワー計算シートで使用に耐えるかを
下調べしました。


 
この計算シートでは、ロスや効率などは考慮していないのでかなり美味しい数字しか出ませんが、2〜3割引けば
概ね実際に近い数字が得られます。


OK模型のサイトでは、9.5×5の折りペラでのデータが公開されていました。 また、このモーターの元メーカーの
Xpower F2919/10 のサイトでは10×6と11×6のデータが公開されていました。 このデータを元に、Vitapropの10×6、
11×6を、2019年8月に開催されたF5J世界選手権のデータからGMの12×8折りペラを用意してテストベンチで回して
見ました。
ちなみにVitapropはHyperFlightで購入し、GMペラは浅野さんに取り寄せてもらいました。

テストベンチではVitapropの10×6は13000rpm 34A 11×6は10300rpm、38Aで、GMの12×8は途中で
50Aを超えてしまったのでテストを中止しました。 せっかく取り寄せたペラですが仕方ありません。



機体にテレメトリーの高度計を取り付けて、真っ直ぐに上げるように30秒クライムをしました。 その結果、10×6が
約260メートル、11×6が約317メートルでした。

260メートルと言えば、とても渋い条件で「上げれば何とかなる」時にフルで使う感じで、「遠くにトンビがいるからそこまで
言ってみよう」には317メートルの上昇力が必要です。


当然、移動距離自体も増えますので、単純計算で200メートルの高度を維持するなら、スタート地点から約400メートル
は横方向に移動できる事になります。

二戦ほど戦わせたXplorer2 電動コンバージョンは飛行重量2000gで、30秒のモーターランでは頑張っても200メートル
だったので、このダイレクトドライブのユニットは十二分の能力があると言えます。
INFINITY EVOF5Jの機体重量の軽さもありますから、搭載機とは要相談です。


2020年1月あたりにGMからダイレクトドライブ用の折りペラブレードが発売になりました。 早速、浅野さんに仕入れて
もらい、テストしてみました。 VitapropとGMでは全くと言って良いほど特性が違いますので、Vitapropで11*6が
良かったからと言って、GMでも11*6が良いとは限りません。 そのあたりを踏まえて、11*5、11*6の2種類の
ブレードを入手しました。


上がVitapropで下がGMです。 形状も違えば、GMの方が5ミリ程ブレードが長いようです。





簡単に面積を出してみると、僅かですがVitapropの方が面積が大きいようです。

実際に機体に搭載して、前回Vitapropのデータを取ったとき同様に測定したところ、
GM11*5 10800rpm 36A 320メートル/30秒
GM11*6  9800rpm 41A 340メートル/30秒

と言う結果になりました。 GMの方が幾らか良く空気をかくようです。 11*6は過負荷とまでは行かない物の、ここまでは
いらないかな?感があります。
11*5は、Vitapropの11*6とほぼ同等ですが、GMペラならではの利点があります。


GM製のスピンナーとの組合せで、綺麗にノーズにペラが沿ってくれます。 空力的には僅かな差でしょうけれど見た目が
良いですね。


 
Model Motor ESC BATTERY Prop Max rpm Max Amp Max m 30s
INFINITY EVO
1370g
CR-281914d C.C TALON 60A Hyperion G8 HV
45-90C 900mAh 3S
VitaProp 10*6 13000 34 260
11*6 10300 38 317
GM 11*5 10800 36 320
11*6 9800 41 340
まとめると、こんな表になります。 消費電力と上昇力の兼ね合いならGMの11*5がベストのようです。 
風が強くて、機体が前に出ない条件ならGMの11*6が良いでしょう。


 


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